2012年版
<伊都どうぶつ病院新聞>
1年を通じて(隔月発行ですが)こちらの「伊都どうぶつ病院新聞」で皆様にさまざまな動物の病気やその予防法などご案内していきたいと思います。
なるべくくだけた文章で皆様にわかりやすいように心がけてはおりますが、不明な点、わかりにくい点などありましたらお気軽に当院までお問い合わせください。
バックナンバーを今号記事下より閲覧できるようにしますので、ご覧ください。
伊都どうぶつ病院新聞 夏号
今回の話題は「犬のよくある皮膚病」です
すご〜く長い梅雨がようやく明けましたね。
そして一気に暑くなりました。
こんなときに増えるのが、皮膚病。
特に今年は長雨とその後の猛暑のためか、皮膚の感染症が非常に増えています。
というわけで、今回は、皮膚の感染症とその予防法をトピックしました。
<「皮膚がかゆいみたいです」>
皮膚病の主な症状として「痒み」があります。
多くの場合、「痒み」=「炎症」ですので、痒みを伴う皮膚病は「皮膚炎」と呼ばれます。(もちろん一部例外もあります)
炎症があるところには、炎症細胞が集まっていますので、それらの細胞から炎症性物質が発生し、皮膚に赤み、痒みをもたらすのです。
この痒み反応は一概に体にとって有害なわけではなく、炎症の原因物質(主に細菌、カビ、寄生虫など)と体が戦う一番重要な反応なのです。
そういうわけですので、「痒みがあるから痒み止め」という治療をしていると、原因がいつまでたっても除去されないので、皮膚病が治らない、ということになってくるのです。
そこで、病院に受診されましたらまず、原因を検査します。
皮膚にぺたっとガラス板を押し当てて顕微鏡で見る細胞診、ダニなどを検出するソウハ試験、毛の根元や毛の色素を確認する被毛鏡検などがあります。
これによって原因がわかれば、原因を除去する「治療」にはいります。
<よくある皮膚病>
@膿皮症・・・梅雨から夏にかけてよく見られる皮膚病です。
皮膚に細菌が感染し、その場所で炎症が起こるために皮膚がべとべとになったり、赤くなってかゆがったりします。
この時期に多いのは、海や川に連れて行った後のすすぎ不足、乾燥不足が原因となるからです。
A真菌症・・・なんだか円形脱毛症みたいなんですけど、、、と連れてこられるワンちゃん、猫ちゃんが増えています。
特に今年は猫に多いような気がします。
痒みを伴うことが少ないため、しばらくほって置かれることが多い皮膚病です。
これもまた、この時期に多い病気です。
Bノミ、ダニの寄生・・・春先から秋の終わりにかけては、ノミやダニといった節足動物も盛んに活動します。
意外と知られていないのがノミアレルギー性皮膚炎。
アレルギーの一種ですが、ノミの駆除や予防によって防ぐことができる特殊なアレルギー疾患です。
かなり激しい痒みと、フケを伴います。
Cアレルギー性皮膚炎・・・今ではすごく有名になった犬の皮膚病です。
耳や下腹部、足先などを年中、あるいは特定の時期に痒がる症状がある場合アレルギー性皮膚炎が疑われます。
ただアレルギー性皮膚炎は、体質が主な原因ですので、治療というより、対症療法やアレルギー除去治療になります。
<よくある皮膚病の治療法、予防法>
これまで書いてきたように、皮膚病にも原因はいろいろあります。
そのため治療には、原因の検査が不可欠です。
細菌が原因の場合は主に「抗生物質」と「薬用シャンプー」が勧められます。
真菌症には、「抗真菌剤」や「薬用シャンプー」、ダニやノミが原因の場合は「駆除薬」が用いられます。
アレルギー性皮膚炎は、話がややこしくなるので、また次号以降にまとめます。
ではこのような皮膚病からワンちゃんや猫ちゃんを守るにはどうしたらいいでしょうか?
基本的に原因を持ち込まないということが一番になりますので、暑くなってきたら、病院で処方される薬用シャンプーを使用する、なるべく乾燥した涼しい場所で飼育する、海や川などで遊んだ後はきれいにシャンプーし、よく乾かす、ということが一番の予防法になってきます。
またノミやダニに関しては、病院にそれらの予防薬がありますので気軽にご相談ください。
記事に関してあるいは他のことでも、ご不明な点は当院にお尋ねください。
伊都どうぶつ病院
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