2012年版
<伊都どうぶつ病院新聞>

伊都どうぶつ病院TOPへ

1年を通じて(隔月発行ですが)こちらの「伊都どうぶつ病院新聞」で皆様にさまざまな動物の病気やその予防法などご案内していきたいと思います。

なるべくくだけた文章で皆様にわかりやすいように心がけてはおりますが、不明な点、わかりにくい点などありましたらお気軽に当院までお問い合わせください。

バックナンバーを今号記事下より閲覧できるようにしますので、ご覧ください。


伊都どうぶつ病院新聞 春号
今回の話題は「犬の椎間板疾患」です


椎間板疾患と書くと少し珍しい病気のように見えますが、意外と身近にある「腰痛」などもある種の椎間板疾患になります。
というわけで、椎間板疾患について今回はお話します。



         <「どこか痛がるんです」?>

診察に来られた患者さんの中には「どこか痛がるんです」と、訴えられる方がいらっしゃいます。
人間だと 痛いところを教えてくれますが、動物の場合それを私たちが推察しなくてはいけません。
ただ、犬種や年齢などを見て、ある程度場所を絞った診察ができます。
M・ダックスフント、トイプードルなどは有名な椎間板疾患の有名な好発犬種です。
しかし柴犬、ペキニーズ、チワワやG・レトリーバーなども椎間板疾患をよく引き起こします。
主に高齢な犬に多いようです。
「どこか痛がる」、といわれたときは、さまざまな病気を疑いますがさまざまな検査(問診、触診、神経検査、レントゲン検査など)を行い、診断します。

<椎間板疾患の例>

@椎間板ヘルニア・・・最も有名な椎間板疾患で、先ほど挙げたようなダックスフントやトイプードルといった犬種の中〜高齢の個体によく発生します。
椎間板という背骨の間に挟まっている軟骨組織が変形、逸脱し脊椎の中を走る脊髄神経を傷害し激しい痛みと、神経症状を引き起こします。
椎間板ヘルニアの場合、発生しやすい場所が腰部のため「体を触ると痛がる」といった症状が認められます。
A変形性脊椎症・・・椎間板ヘルニアとはまた異なり、椎間板の周囲の脊椎が変形し、変形した脊椎により周囲の神経が障害を受け、痛みを引き起こします。
かなり高齢の犬に多く、日本犬やG・レトリーバーなどによく起こります。
B背筋痛、背部痛・・・レントゲン検査などで異常を認められないものの、確かに背中あたりを痛がる、といった場合、MRIという特殊な検査をすることで神経の異常等を検出することもできますが、すべての患者さんにMRIをすることを勧めるわけではありません。
その際には背筋痛、背部痛と仮診断をして治療をすることがあります。
多くの場合、治療後は良好です。

      <椎間板疾患の検査、治療法>

まず椎間板疾患を疑った場合「レントゲン検査」を行います。
背骨(椎骨)、椎間板、その周囲の異常を検出するためです。
また激痛を伴う場合や、神経の麻痺などを認める場合は、椎骨の中を走る「脊髄神経」の異常が疑われるため、MRI検査をお勧めします。
しかしながら動物のMRI検査は特殊な検査機器が必要であるため、福岡県では「海ノ中道動物病院」でしか検査できません。

このような検査を行った後、診断を下し、治療に入ります。
治療は、多くの場合、「絶対安静」と「痛み止め」が主な治療となります。
また椎間板ヘルニアの場合、麻痺が重度の場合は手術が必要になることもあります。
変形性脊椎症などの場合、年齢や必要に応じてサプリメントなども勧めることがあります。
記事に関してあるいは他のことでも、ご不明な点は当院にお尋ねください。
伊都どうぶつ病院
      

2009〜2012年バックナンバー

フィラリア症の予防について

外耳炎について

グルーミングで皮膚病予防

内臓シリーズ第1弾「肝臓」

内臓シリーズ第2弾「腎臓」

内臓シリーズ第3弾「心臓」

2010年春の特別号

2010年春の特別号第2弾

内臓シリーズ第4弾「胃腸」

内臓シリーズ第5弾「子宮・卵巣」

冬号 「中毒」

マイクロチップについて

狂犬病予防注射

熱中症

少し特殊な皮膚疾患

腫瘍

ワクチンについて